これは…全然意味わからん。
「エイリアン:コヴェナント」と「新感染」をなんとなく誤認させて
レンタルさせようと言う感じの邦題とジャケットですが、
「Z」と付けちゃうところがある意味正直です。
映画でZと言ったらZ級のZしかありませんからね。
しかし、これは案外悪くない出来でした。
予算は確実にZ級と断言できるくらいの規模でしかありませんが、
監督をはじめとするスタッフの能力はなかなか優れていると言えるでしょう。
後年メジャーな存在になってもおかしくないのでケリー・シュワルツという名前は
一応覚えておいてもいいかもしれません。
ただ、ストーリーは全然意味が分かりません。
感染系エイリアンはなぜ、出現したのか―。最凶の未知なる生命体が牙を剥く!
人類の未来を懸けたSFバトル・アクション!
(Amazon説明文より)
この紹介文もしかして全部間違ってるんでは…。
感染でエイリアン化したようにも見えるけど、人体実験の手術でエイリアン化したようにも見えるし、大した牙もないし、最凶ってほど強くないし、むしろ弱いし、人類の未来が懸かっているようにも見えないしバトルアクションでもない…。
なぜ出現したのかなんてカケラも説明されんし。
そういやジャケットは銃持ってるけどこの人銃撃なんて一回もしなかったな…
一応、「4人の男女が目を覚ますと、軍施設の地下に監禁されていた。軍は撤退し、外では何かが暴れているようだが脱出できるだろうか?」
というようなストーリーです。
しかし4人とも軍関係者で中途半端に事情を把握している様子で、
特に取り乱したりとかはしません。
そのうえ観客が会話の内容について行けるような配慮はなく、
今後意味が明かされないであろう彼らの意味深な会話をただ聞き流すことしかできません。
監禁される前の記憶が混濁しているらしいのですが
その中の女性少尉は人体実験されている様子がフラッシュバックするなど
思わせぶりな演出が入ります。
この映画思わせぶりな演出がうまい、というかそれだけで引っ張ってる感。
部屋の外では腐ったスパイダーマンみたいな安いエイリアンが徘徊していたり
少尉がデモンズみたいな目の光るゾンビになって仲間を襲ったり、
とりたてて緊張感のないショックシーンが入ります。
こういうとホームビデオ的なひどく安っぽいZ級映画を想像するかもしれませんが、
本作はひと気がない怪しい地下施設の空気感の表現がうまく、例えるなら昔のバイオハザード(ゲームの方)のような雰囲気がありちゃんとプロの映画になっています。
加えて、BGMの出来がやたらと良いため安いエイリアンが出てくるにも関わらずサスペンスフルで高尚な雰囲気だけは保持出来ているのです。音楽はサントラが出たら買いたいぐらい良い。
そんな感じで「なんとなく良い物感」だけはあるものの、
ストーリーの意味不明さは後半になっても依然変わらず。
主人公のハンナという女性がエイリアンZと戦ったり逃げたりしながら
監禁される前の記憶をフラッシュバックしますが、
幼い娘を助手席にのせて運転していたら事故ったところでした。
ちゅうかこのエイリアンZ、弱すぎて話になりません。
劇中の描写だと人間の女性と同じぐらいの身体能力しかないことになります。
エイリアン映画で人間を誰も殺せなかったエイリアンって初めて観たかも…
そして何とか施設から脱出したらお迎えの車が来ますが
このお迎えがどこの誰で、どうして来たのかは当然説明はなく。
さらに病院で目覚めたハンナに会いにやってきた娘はなぜか大人になってて…
さらにハンナの首の後ろにはエイリアン化の前兆が…
という衝撃(?)のラスト。
結局、事故で十数年昏睡していたハンナが見ていた夢だったという意味でしょうか?
誰か分かる人教えてほしいです。
オススメ出来るかって言ったら到底できませんが、
出来が良いと言えば良い。
雰囲気が良ければ内容は意味不明でもいいっていう感じのスッキリしないタイプ。
こう言うとアート映画のように聞こえますね。
観客を突き放したような謎めいたストーリーを考察するのが好きなら観てください。
で、答えを私に教えてください。