製作:2015年アメリカ
発売:トランスワールドアソシエイツ
走り屋っぽいチャラ男たちがカーレースを楽しむ峠道・アッシュパインロード。だが、そこで事故を起こして救急車を呼ぶと、殺人鬼兄弟の乗った救急車がやって来るのだ。
それはそれとして、胸が無さ過ぎることに悩んでいた女子高生エイミーはついに豊胸手術をすることに。
しかし、それが悲劇の始まりであった…
救急車を呼んだら、殺人鬼がやってきた…などという珍妙な設定は「地獄の殺人救急車」を彷彿とさせますね。タイトルに反してあんまり大したことをしてなかった「地獄の殺人救急車」よりはキルカウントが多めではあります。
「アンビュランス911」だなんて何を言いたいのかよく分からない邦題より「新・地獄の殺人救急車」とかにすれば良かったのに。
それにしても、監督がアラン・スミシー名義の映画も久しぶりに観ましたね。
これはかなりどうしようもないツッコミどころ満載のC級スプラッターホラー映画ですよ。アランスミシー名義にしたくなるのもうなずける、実にかぐわしい腐臭を放つ出来栄え。
↑ジャケにもありますが「心配するな 救急隊員だ」というのが決めゼリフの殺人鬼。
いや、殺人鬼一家です。それも救急車に乗って駆けつけるのが趣味の殺人鬼一家。事故でケガした人の傷口に指を突っ込んで舐めたり、救急車に担ぎ込んでミンチにしたり丸焼きにしたりとやりたい放題。一見かなり張り切ったスプラッターのようですが、安すぎるため大したグロには見えません。私でも普通にご飯食べながら鑑賞出来ました。
まあそんな感じの殺人救急隊員が例によってバカ丸出しの高校生グループを殺していく「13金」的な頭カラッポスプラッターなわけですが、本作の主人公はエイミーという名のマジメで地味な女子高生。生き残る主役はそうでないといけませんね。と、ここまでは実にありがちな設定。
ところが、なんだかよくわからんのですが、このエイミーという女子高生は胸が小さいことを非常に気にしており、豊胸手術を受けたいだのなんだの母親と交渉して云々といった謎の展開に尺が割かれております。
彼女の好きな男の子がどっかの婆さんをひき逃げして隠蔽した過去を持つクソチャラ男であり、そいつと付き合うためには巨乳でなければいけないと思い込んでいるのです。
何なんでしょうかね、このストーリー展開は。
高校生が豊胸手術なんかしていいのか?
…というのもかなり疑問ですが、バカなチャラ男と釣り合うビッチになるために1年休学するとか高い靴を買うとか、自ら進んでバカになろうとするエイミーさん。
そこまでしたのに「以前の君が良かった」などと言われてしまうエイミーさん。
謎の行動を延々見せつけられ、一体自分は何を観ているんだ…と虚無的な気分になりかけました。
まあ、合間合間に他のクズい若者がコロコロされるシーンだとか殺人救急隊員一家の陰惨な過去話が入るんでまだいい方ですが。
殺人救急車に連れ込まれて酷い目に遭ってるビッチと、豊胸手術中のエイミーを重ね合わせて表現する謎演出。塩水袋を入れるんですかそうですか。
そして豊胸してイケてるビッチ風に変身したばかりに人違いで狙われてしまうエイミー。
どうしてここまで豊胸手術をあちこちに絡ませてくるお話にしたのか。わからん。
で、そのエイミーさんが殺人救急隊員と遭遇してしまうのは60分が経過してからです。
ちなみに本作は80分映画です。何すか、このペース配分は…
ということで、まあひどいことはひどいがそれなりに見どころが無くもないC級珍作なのでクソ映画ソムリエな好事家の方はぜひご覧ください。