ある好事家の記録 主に変な映画の感想

変わった映画を見つけたらそれを語りたいブログ。  主にモンスターパニック映画、特にサメ映画の感想が多め

MEG ザ・モンスター 感想




製作:2018年アメリカ・中国合作
配給:ワーナー・ブラザーズ・ピクチャーズ




マリアナ海溝の海底には冷水層を隔ててさらなる深海があるという説を実証するため、
潜水艇で探査を続ける海洋研究所。
ついに彼らは冷水層の下に到達するという偉業を成し遂げ、未知の生態系をも発見し喜びに沸く。しかし何者かの襲撃を受け、危機に陥ってしまう。そこには太古の巨大ザメ・メガロドンが今なお生き続けていたのだった。





やっと明日からお休みがもらえたので観て来ました。

原作小説を読んでいたく感動し、スピルバーグ監督で映画化すると聞いて楽しみにしていたのに15年以上経っても一向に実現する気配が無く、すっかり諦めていたところにまさかのジェイソン・ステイサム主演で制作。
監督のジョン・タートルトーブという人の作品は「ナショナル・トレジャー」ぐらいしか知りませんが、サメ映画の監督としては充分すぎる実績。

そのうえ、なんと製作費が約150億円もかかったとのこと。
億どころか150円で作られたような作品が横行するサメ映画界にそこまでの超大作が!?
これは途方もなく凄まじいサメ映画が出来てしまうのではないか!?
と期待はパンパンに膨らむ一方でした。

(チャイナマネーの注入には若干不安もありましたが、そこは大して問題なくて安堵。ついでに言うとポスターが「ジョーズ・イン・ジャパン」のジャケに似ているのも少し不安でしたが)



結論から言えば、本作はサメ映画の歴史を塗り替える大傑作でした。
もう今年のベストは本作で決まりでしょう。
もう「サメ映画≒クソ映画」とは言わせない。
年に1本ぐらいはこういう大当たりも出現してくれる立派なジャンルと化しました。


そもそもサメを題材にしたブロックバスター作品はこれまで存在していなかったのではないか?
これほどまでに超弩級のスペクタクル豪華映像を連発してくれたサメ映画というのは確実に初めてです。
その辺のサメ映画が線香花火だとするなら、本作は超新星爆発を間近で見ているのに匹敵するほどのド迫力。次元が違いすぎる。



深海に未知の空間を発見し、喜びに沸く研究チームがメガロドンに襲われる、
という序盤の展開は2002年の映画「メガロドン」に酷似しております。
単に「メガロドン」が本作の原作をパクっただけのことですが、クオリティの落差があまりに激しくて笑えます。



ただ本作の主演はあのジェイソン・ステイサムということもあり、サメパニック映画というよりはだいぶアクション映画寄りの雰囲気です。
といっても本作にはマーシャルアーツもナイフバトルも銃撃戦も全くありませんが、その代り水中でのアクションが実にかっこいい。何しろジェイソン・ステイサムは元水泳選手でもありますからね。
飛び込み方が堂に入ってます。泳ぎも本当に速そう。
いつも通りどんな強敵であろうと軽く蹴散らしてくれそうな頼もしいオーラに満ち満ちています。


とはいえ本作の敵・メガロドンは全長25m以上という超巨大な古代サメ。クジラですらひと噛みで喰いちぎってしまうほどのサイズ。
体積で言えば普通のホホジロザメの数百倍はありそう。
ここまでくるともうサメというより大海獣といった趣きであり、人間など無力。
いかに無敵のジェイソン・ステイサムでも単独では戦いようがないのではないか。


一応リー・ビンビンとかいう中国人が戦う母親というヒロインポジションではありますが、やはりステイサムには遠く及ばない戦闘力。ただの人です。
やはりステイサム以外に戦えるやつはいない。



では彼が単独でどう戦うのかと言うと、なんと水中銃やモリを背負って生身で泳いでメガロドンへ立ち向かうのです。

「ジョーズ」や「赤い珊瑚礁」のことを思い出すまでもなく、普通のホホジロザメ相手でもそんなことをするバカはいません。荒唐無稽にもほどがある絵面。というか、普通のサメ映画では人間など海に落ちた時点で即アウトです。水中ではサメには抵抗のしようが無いのが常識。
水中で少しでもサメに立ち向かえた人間と言えば、かろうじてドルフ・ラングレンがいますがあれは闘いというほどでもないし。



だというのに、当たり前のようにメガロドンに生身で泳いで接近し、驚愕の水中大アクションで互角のスーパーバトルを繰り広げるステイサムの姿に、我々サメ映画マニアは感動で胸が熱くなるのを禁じ得ない。
サメ映画でこんなものすごい戦闘シーンはまず見たことがありません。
メガロドンと人間という途方もない体格差で、しかも水中という相手のフィールドであれほどまでに激しい戦闘を演じても違和感が無い俳優は全世界でもステイサムただ一人でしょう。


クライマックスでは「シャーク・ハンター」のバッドエンドを思い起こさせる展開になりかけますが、ステイサムがそんなことをするはずがない。
それは分かってるとはいえ、想像を超える凄まじい決着の付け方。
未だかつてあんなやり方でサメを仕留めようとした男がいただろうか。
しかもただのサメではなく超巨大なメガロドンであの倒し方とは。なんとファンタスティックな光景であることか。
これは全人類が鑑賞すべきサメ映画の大傑作と言えるでしょう。





でも原作小説ってこんなんだったろうか…
という疑問を多少感じなくもないですが、何ぶん読んだのが15年以上前なので思い出せない。
まあそのうち読み返してみようとは思いますが。



これだけ絶賛しておいてなんですが、実は一つ大きな不満点がありまして、
本作には見ごたえのある捕食シーンというのが全く存在しないんですね。
喰われても一瞬で丸のみされるだけ。
思いっきり咀嚼されて悲痛な叫び声をあげたクイント船長のような名捕食シーンが欲しかった。

R指定が無い時点で察するべきだったかもしれませんが、
せっかく世界屈指の混雑するビーチにメガロドンが現われるという美味しすぎる場面を用意しているのに、人間をモリモリ喰らうシーンが無いのがすごい肩透かしに感じてしまいました。
そこでは「ピラニア」みたいな血みどろ踊り食いパニックシーンが繰り広げられるのかと思ったのに。

おかげで本作には恐怖感というものはほぼ存在せず、ひたすら楽しいだけ。まあそれはそれで良いですけどね。

本作はあくまで「ステイサムvs.メガロドン」という異種格闘戦を見せることに特化したバトルアクションサメムービーです。
老若男女誰でも安心してご覧になれますので、興味を持った人にはぜひ劇場での鑑賞をオススメしたいところです。私はブルーレイも出たら買います。


ただ、本作を気に入ったからと言って安易に他のサメ映画を観ようとするとあまりの落差にショック死するかもしれませんのでくれぐれもご注意ください。















関連記事:「メガロドン(※MEG ザ・モンスター」原作小説) 感想



 

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岩石入道
性別:
男性
自己紹介:
B級~Z級映画が主食。ホラー、モンスターパニック系が特に好き。目についたサメ映画全てチェックしたい
krgm200@gmail.com

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