製作:2017年アメリカ
発売:キュリオスコープ
元警官のフランクは、ある日帰宅するとトイレでサメに喰われるシッターの姿を目撃。なんとフランクの家にはイエザメ…ハウスシャークが棲みついていたのだ。それから家に入ることも出来ず、売ることも出来ず庭でキャンプをして過ごす日々。だが不動産屋が勝手に家を売ろうとし始め、ハウスシャークによる犠牲が拡大。フランクはハウスシャークの専門家を呼び寄せ、不動産屋と共にハウスシャークに戦いを挑む。
製作中であるという情報だけは数年前から出ていたものの、なかなか完成したという話もなく正直お蔵入りになるんじゃないかと懸念していたサメ映画。こうして日本でも無事にソフト化されて嬉しい限りです。キュリオスコープ様ありがとうございます。セル版が出たら2枚買わせて頂きます。
しかしこうしてジャケットを見ると、どっからどう見てもZ級学芸会映画。エグいほどに濃厚な地雷香しかしません。しかも112分という破格の長尺。何でそんなに長いんだよ。果たして自分は112分も耐えられるのか? 自信が無い…
という不安を抱えながら再生したのですが…
これは確かにZ級学芸会映画。映像、小道具、演技、そのどれもがまさしく学芸会級。
しかし…
これは…
面白い!楽しすぎる!こんなZ級クオリティでこれほどまでに面白い映画なんて生まれて初めて観ました。
これはもうZ級でありながらZ級の枠を飛び越え、C級クソサメ映画界の超新星と表現してもおかしくないくらいの超絶ケッ作と言えるでしょう。
「ジョーズ」に衝撃を受け過ぎた変態共が連綿と突然変異的世代交代を繰り返しながら禍々しい血を濃くしていき、その果てに行きついた魔界的領域からさらなる突然変異を起こし産み落とされてしまった変わり種中の変わり種…それが本作「ハウス・シャーク」なのです。
と言っても、すでに陸海空はもちろん雪山から北極から田舎の湖から宇宙から竜巻まであらゆる舞台をテーマにしてきたサメ映画ですから、
「ついに家の中から襲来!」などと嬉しそうに言われても、果たしてそこまで新鮮味があるのだろうか? と疑ってしまっても無理からぬところです。
そう、本作の舞台が家の中であるというのは、単に製作費をかけずに作ることが出来る。という理由以外の何物でもありません。
それはまさに中学生あたりが学校行事の出し物で製作したかのようなハウスシャークのハリボテが家の中で暴れるシーンを見れば誰でもそう思うことでしょう。やっすいなんてもんじゃない。ごっこ遊びですよ。
ではなぜそんなものが、魑魅魍魎共が群雄割拠するC級クソサメ映画界の頂点へといきなり躍り出ることが出来たのか?
それはどうしようもないシチュエーションでどうしようもないキャラクターがどうしようもないサメモンスターを相手にゆる~く延々と繰り広げられる掛け合い、コントがすごく笑えるから。と言うことに尽きます。
↑本作の主要登場人物3名、ハウスシャーク退治チーム。
メスザメスーツを着ているのが家主のフランク。
ファイティングポーズを取っているガリがハウスシャーク専門家(名前忘れた)
後ろでボウガン持ってるのが不動産屋のエイブラハム。
よく正気で演じきったなと感心してしまうほどに濃ゆい狂気を滾らせた3人組です。かつてこれほどまでに変な奴を取り揃えたクソサメ映画など前例がない。しゃべり方もしゃべってる内容もほとんどまともではない。下手すると寒いだけになってしまいかねない。クオリティ自体はZ級なのでかなりギリギリ紙一重です。何だろうこのバランス感覚。奇跡? ちなみに全体的に下ネタ全開なので苦手な人はご注意ください。たとえば、メスザメスーツを着ているのはフランクがハウスシャークに掘られている間に倒すという作戦のため(本人は承知していない)とかそういうネタばっかりです。
↑ハウスシャークが来た!ヤバイ!家具のフリをしてやり過ごせ!という珍プレー。くだらなさすぎて逆に笑うしかないZ級映画的魔の領域。役者にコメディアンの才能があるのか天然なのかわからん。
ハリボテ感満々のハウスシャークは目が4つあるくせに人間と見抜けずこの場でコテンとひっくり返ってお昼寝に。しかしエイブラハムは「人の顔を触りたがる」という奇怪な癖を持っており、必死に制止するフランクを振り切ってついついハウスシャークの顔に手を伸ばしてしまう。
「我慢できん」
いやこっちが我慢できんわ!
驚くほどのわけのわからなさに笑いが加速していくのを抑えきれない。
しかも、目を覚ましそうになったハウスシャークに対しオリジナル子守唄!
「ハウスシャークちゃん目を覚まさないで~ママが人間のステーキを焼いてあげる~」笑い殺す気か!しかも何の脈絡もなくサメの天敵はマンティスだ!とか言いだし、蟷螂拳の修行シーンからの最終決戦。驚愕のクライマックスは、各自その目でご確認ください。他にも水中戦や光線銃など爆笑物の素晴らしい見所は山ほどあります。
個人的には大絶賛するしかない神懸かり的スーパークソサメ映画としか言いようがありませんが、取り扱い要注意の劇物であることに変わりはないので、誰もが楽しめるものかどうかは責任が負えません。この記事を読み私を信じてレンタルしてみたはいいが、ゴミじゃねえか!なんて人がいたとしても苦情は受け付けられません。くれぐれも自己責任でご覧ください。