「アラスカへ撮影にやってきた写真家とモデル。しかし近くの研究所から逃げ出したバイオ殺人熊が彼らを襲う!」
実にシンプルなお話ですね。
こんなんでも2015年製ということに驚きます。
スマホを除けば1980年代の映画と言われても違和感ないかも…
それにしても、この手の映画はピンチの時に
なかなかエンジンがかからない!頼む!かかってくれ!みたいなシーンを
卒業すべきではないでしょうか。もう何百回見たことやら。
いくら定番とはいえせめて1作品につき1回とか業界で自主規制してくれませんかねえ。
この作品、本当にアラスカでロケしているかどうかはわかりませんが、
雪国には違いないので実に寒そうです。
そんな中、モデル役の女性二人は露出度の高い水着+少しの毛皮だけで外に出るシーンがあります。
おそらく地獄のような寒さを味わったことでしょう。
おまけに黒髪の人は氷を割って水の中にまで入ってました。
まさかCGとかなんらかの特殊効果を使ってごまかしたとは思えないので
実際にやったと思われますが、こんな映画でそこまで体を張るとは実に見上げた役者根性です。
正直ここがこの映画で一番感心したシーンでした。
…というくらい、この映画の出来はいまいちです。
まず肝心のバイオ殺人熊の出来がねえ…
おそらく着ぐるみかと思われますが、全身が映るシーンがかなり少ない。
あっても遠目にしか見せられない。
何やらオオカミの遺伝子が入っているらしいですが、特にそれを活かすような場面は何もありません。
何かゾンビっぽくちょっとグチャっとした感じのあるただのホッキョクグマです。
ただ単に人間には太刀打ちできない存在、でしかないので別に殺人トドでも新プレデターでも何でも良かった感じです。…いや、一応自然保護がテーマらしいので新プレデターではダメかな。
あと登場人物が軒並みクソ野郎・クソビッチばかりで結構ウンザリします。
カメラマンもモデルたちも途中から来る研究所の女博士も本当に性格が悪い。
ロッジのオーナーとスタッフだけがこの映画の良心ですね。
クソ野郎共の無残な死を楽しみにしながら、ロッジの方々の生存を願って鑑賞するわけですが、なんせ一応2015年製の映画なので死ぬ順序は無駄に観客の期待を裏切ろうとしてきます。
よってバイオ殺人熊は性格の良し悪しにあまり関係なく人間をムシャムシャ。
まあ、ナチュラルと言えばそうですが、
娯楽映画的にはやっぱり善人を残すべきでは…。
それにしても、このバイオ殺人熊出現の元凶とも言うべき女博士は
実にムカつくキャラクターになっており、ムシャムシャされるシーンを心待ちにして鑑賞しておりました。彼女がバイオ殺人熊から必死で逃げている時にトラバサミにかかって
「ウソでしょ!」と叫ぶところはなかなか胸がスッとするシーンとなっております。ただその後はちょっとね…
そしてラストはちょっと解釈の分かれるところでしょうかね…
いずれにせよ後味はよろしくありませんが。
ちなみに無駄にくそまじめに撮っているので笑えるシーンなどありませんし
天然でやらかしてるシーンも特に見当たらず、
ある意味なかなか手堅くまとまっているので本当に微妙な映画です。
とはいえクマ映画は割りとレアなので低予算モンスター映画に抵抗が無ければ
観ても損するとまでは言えない出来でしょう。
その手の通な好事家だけご覧ください。