「若返りの泉」があるという洞窟に入り行方不明となった考古学教授。
その後を追って入って行った学生たちは何者かにロープを切られ、
洞窟から出られなくなってしまう。
しかも、その洞窟は時間の流れが地上とは全く異なる奇怪な空間だった。
やたら大きな風呂敷を広げるだけ広げて、畳むことを放棄したというか
最初から畳むつもりなどなかったかのようなB級感溢れるSF映画です。
序盤の展開は遅いし、全く何のひねりもないラストには驚きましたが、
それらに目をつぶればなかなか面白い内容でした。
公式HPの紹介文には
「時空の謎を暴き、脱出できるのか?」とか
「人類が最も恐れる時間の”罠”と”秘密”がついに明らかになる!」
と言った謎解き要素を煽る文言が踊っていたりするのですが、
そんなもん何も無かったです。多分。
なので、「時間の流れが全然違う洞窟」の出自や謎については気にせずに、
単にそこへ入ってしまった学生たちの受難、冒険活劇を楽しめば良いタイプの映画でした。
時間の流れが異なる…というか、洞窟の中では「時の流れが極端に遅くなる」
という設定です。
なので洞窟の中から外を見ると、恐ろしいスピードで太陽が回っており
その軌跡が光の帯として見えるほど。
洞窟探検に赴いた学生たちがこれに気付くまでにかなりの尺をとっているので
前半は結構まだるっこしいです。
それはいいけど、洞窟の中から見るとこうなってるってことは
地球の自転速度が滅茶苦茶速くなってるように感じる
ってことだと思うんですが、慣性や重力には何の違和感もないんでしょうか。
いや、洞窟内だけが本来の時の流れから隔離されているだけ
って話なんでしょうけど、地下洞窟ってことは地球の一部なわけで、
やっぱすごい速さで自転を感じてないとおかしい気がします。
それとも、あくまで人間の知覚する時の流れが遅くなってるだけ
ということならそんなことも考えなくて済むんですが、
本作は洞窟内で撮った動画と洞窟外で撮った動画の違いでこの現象に気が付くという展開です。
つまり機械も人間と同じようにこの現象の影響を受けているので、これも無理。
ということで、本作の若返りの泉洞窟は物理的に完全に全宇宙から隔離された
異空間であると適当に考えた方が良いようです。
タイムトラップというタイトル通り、若返りで釣って閉じ込める罠みたいな洞窟ですが、
一体誰が何のためにそんな罠を仕掛けたのか?
SF的には非常に興味深い謎ですが、本作中でその辺は一切明らかにされません。
しかもこれがちょっとやそっとの異空間ではなく、
ほんの数十分、数時間滞在しただけで地上では数百年、数千年も
経過してしまっているらしい。
外から中を見ると、時間停止しているかのように見えるほど。
本作の洞窟探検はまるでグーニーズ的冒険譚のような描かれ方をしていますが、
地上に出てみたら見渡す限りの荒野が広がっており
空にはオーバーテクノロジー的な何かが飛んでいる光景は
明らかにもう二度と日常には帰れないという絶望感をもたらしてくれます。
そして洞窟内には野蛮な原始人たちが棲みついていたり、
逆にあとからすごくカッコイイ梯子を使って超未来人が入って来たりで
原始人VS現代人VS未来人という面白すぎるバトルロイヤルがはじまったりします。
ここら辺は確かに「一寸先は闇の総カオス状態」でありますが、
未来人の装備がプレデターっぽいわりに弱すぎじゃないのかと。
ハシゴが一番未来っぽくて凄い道具ってのはどういうことかと。
しかも原始人に使い方を学習されてるし。
…まあ、仮に私が防刃ベスト着用でスタンガンを持って原始人軍団と戦っても
勝てそうにないし文明の力も個人対個人では意外に無力なものかもしれないですね。
あれだけのハシゴが作れる文明ならロックバスター的な武器も持っているだろうと勝手に期待した私が悪いのでしょう。
そんなこんなで色々トラブルがあっても、どうせ洞窟のどこかのエリアに
「時間をさかのぼる空間」が都合よく存在したりして、
結局はみんな無事に現代に戻ってハッピーエンドなんでしょ?
…なんて考えながら鑑賞していたんですが、全然違いましたね。
そりゃなりゆきでああなるのは自然かもしれませんが、
あんな笑顔でいいのか? あんな現実を受け入れられるのか?
「生きて脱出してもどうせ別世界だ 家には帰れない」
って暗い顔で絶望していた中盤の彼らは一体どこへ…
まあ人生開き直りが肝心ってことですかね。
B級ですが、広く浅く万人受けしそうなSF映画だったので
無難なものを求める人にも普通にオススメです。
オチには納得いきませんでしたけどね。