製作:2012年イギリス
発売:クロックワークス
ある日、ロンドンの貸し倉庫に正体不明の飛来物が落下。その影響で周囲は停電し携帯電話はつながらなくなる。たまたま恋人と別れるために荷物の整理にやって来ていたチャーリーたちは、貸倉庫に閉じ込められてしまう。そこに突如凶暴なエイリアンが襲ってくる。
全米での興行収入がわずか72ドルで終わってしまったと噂の英国製低予算クリーチャーホラー。
たった72ドル?どんだけひどいんだ?と思われるかもしれませんが、一応劇場公開されただけはあって、その辺のDVDスルー作品よりは良い雰囲気を持ってます。雰囲気だけ。
「そこでは、悲鳴は誰にも聞こえない」というキャッチコピーがストレートな「エイリアン」フォロワーであることを表しています。
↑ストレージ24のタイトルが示す通り、本作の舞台は24時間営業の貸し倉庫。
はっきりいってめちゃくちゃ地味で殺風景で構造も単純。しょっちゅう映されるこの通路はカラー的にそれなりに印象に残るが、舞台設定としては激しく面白味に欠けると言わざるを得ない。ノストロモ号とまではいかなくとも何かこう…もうちょっと何か無かったんでしょうか。
ここを舞台に、閉じ込められてしまったクソ野郎共が一人また一人と殺されてゆく…みたいな話なのは言うまでもありませんが、思ったほどにはホラーしてないのがまた問題です。R15+なので心臓掴み取りやら胴体切断などそれなりにエグいシーンはあるものの、大したショッキングでもない。ホラーというよりむしろ人間ドラマとしての味が前面に出ちゃってるタイプ。
登場人物が軒並みクソ野郎&ビッチということもあって、前半はややゲンナリさせてくれます。振られたのに未練たらたらに悪あがき&八つ当たりしまくるいけ好かない主人公チャーリー、ところがゴリラみたいな恋人シェリーは実は親友のマークと浮気していてとんでもない修羅場が勃発…ってまたこういうパターンかよ!っていうね。
しかし、こういうクズ共が極限状況に晒されることによって本当の人間性が露わになっていき、当初の立場が逆転していく様子はなかなか見事です。この手のクリーチャーホラーにしては、ですが。一見良い奴が実はクズだった!というのは定番ですがその逆も同時に対比して展開するのはあまり見ないパターン。
↑それではその肝心のクリーチャーは一体どのようなものなのかと言えば、
見ての通り造形はそこそこ悪くない。例によって宇宙船でやってきた知的生命体にしては知的さのカケラもありませんが。なぜこの手のエイリアンはいつもヨダレをダラダラ流しているのか。精密機械を開発出来るとは思えん。必ずと言っていいほど全裸だし。
殺人宇宙モンスターとしての造形が悪くないのはいいが、これといった特徴が何もないのがまた難点です。
何しに来たのかも分からんし、力任せに人間を殺すしか能がない。何のために人間を殺すのかも分からんし何が好きで何が嫌いなのかも不明。普通、こういうクリーチャーホラーはもうちょっと主役のバケモノについて何か特性や弱点を探ったり目的を考察してみてくれないと味気なくてしょうがない。
しかも、別に大して強くないというのが困る。
犬のおもちゃに花火をくくりつけただけの武器(?)で倒したと思われちゃう。
いや、さすがにそんなことでは死にませんでしたが、決まり手はバールのようなものでの突き一撃。エイリアン系の映画で、ここまでショボイとどめの刺し方もそうそう観られませんよ。全裸で戦うからそんなことになるんだよね。オチでは大挙して地球侵略にやって来てましたが、こんなのが人類に勝てるとは思えません。
何かどうも既視感があると思ったら「新プレデター 最強ハンター襲来」みたいなエイリアンでしたね。弱いしオチがほぼ一緒だし。映画の出来自体は新プレよりも数段上だと思いますが、新プレの方がネタになる分まだ面白味はあります。
ということで、「弱いエイリアン」に興味がある方は本作を観ても損はないと思いますが、本作を観るくらいなら「新プレデター 最強ハンター襲来」の方がまだましかと思います。「弱いエイリアン」に興味が無い人はどっちも観なくていいです。