「地獄のシオマネキ 巨大蟹のしたたり」(1980年アメリカ)このDVDは完全にタイトル買いしてしまいました。
なんという素晴らしい邦題でしょうか。
本来は「グルメホラー血まみれ海岸・人喰いクラブ/地獄のシオマネキ・カニ味噌のしたたり」
とかいう邦題だったようですがこれはさすがに長すぎるでしょう。
DVD版の邦題で充分です。(「巨大蟹」より「カニ味噌」の方が良かったが)
私の中で「センスのある邦題ランキング」上位入りしました。
ちなみに1位はもちろん
「地獄の殺人救急車 狙われた金髪の美女」です。
こっちは救急車が殺人というギャップはもちろんですが、狙われるのが金髪じゃなくて黒髪の女性だというところも地味にポイントが高いのです。
まあそれはともかく、カニをモンスターにした映画は他に観たことがありません。
「したたり」というのも「死霊のしたたり」を意識していそうですが
カニだとむしろうまそうな気さえします。
ストーリーは、原発事故とかハイチ人の密入国とかカニの成長促進研究とか色々とそれなりに真面目に作ってあるような気がしましたが、特に面白いわけでもないし興味もないのでここでは解説しません。
私が興味あるのはカニが人を襲うシーンのみです。
その観点からいくと、ラスト10分以外はほとんど何も見どころがありませんでした。
まあ1980年テレビムービーだしそんなもんだろうとは思ってましたけどね。
にしても、「大量のシオマネキが発生し、人々を襲う」という話らしいんですが
別に人を襲っているようには見えません。
↑悲鳴上げる必要ある?
ただカニが普通にウロウロしてるだけです。
CGとかない時代だし実物を使うしかない。となると仕方ない話ではあります。
まあそんなこと言ったらそもそも「カニが人を襲う」とかいう映画を撮ろうとするのが
そもそも間違っていますが。
いや、CGがある今でも作られないところを見ると、さすがにカニ・パニック映画には需要がないんでしょうね。
そう考えると本作が製作から37年も経ってわざわざDVD化されるというのもいかがなものかと思いますね。
どういう層が買ってるんでしょうか?
↑ カニが住居に入って来てパニクってる男の図
ただのカニなのにやたら怖がって自滅
ここまでは普通サイズのシオマネキですが、
抜け殻などで超巨大ガニの存在が示唆されます。
それだけを目当てに観ているようなもんなので
早く出てきてほしいんですが、当然ながらギリギリまで引っ張ります。
結局出てくるのはラスト10分くらいのところ。
CGなどない時代、特撮っぽい映像技術も一切使用していなさそうな激安映画、
さてどんなハリボテ巨大ガニが現れるのか!?
…夜なので暗くてよく見えない!
力作っぽいのにもったいない!
でも…わざとでしょうね。
狙い通りチープさはごまかせていますが、別にこの映画がチープなのは
もうよく分かっているんだから正直に明るい昼間にこの巨大ガニを
暴れさせてほしかった。
それでも、目とハサミぐらいしか動かないこの巨大ガニ相手に
右往左往する人々を眺めているとなかなか微笑ましくて悪い気分ではないです。
と思ったらこのカニ、目を殴られただけで死にます。いくらなんでも弱すぎない?
しかもやられたら即スタッフロールに突入。
メデタシメデタシな描写も後日談も何もなし。
やけにいさぎよいブッタ切りにはこの映画で一番おどろきました。
ジャケットの画像はスタッフロール直前シーンの画像だったのです。
これは「デス・プルーフ」のラストを思い出しますね。
正直なところ、この映画は誰に勧めて良いのか全然わかりません。
邦題がツボった人はDVDを棚の肥やしにしても良いかなとは思いますが。