製作:2015年アメリカ
発売:トランスフォーマー
廃墟と化した、元児童院。そこは知的障害や精神異常を持つ子供を集めて虐待や実験による殺戮を繰り返した曰くつきの施設だった。 そんなところでバカ全開の若者グループがパーティを開いて乱痴気騒ぎをしたあげくに悪ふざけで降霊儀式をやってしまったところ、悪霊に乗り移られてえらいことになるのであった。
退院したい!退院したぁぁぁい!!という弾け気味な煽り文句が嫌でも目を引く心霊系スプラッターホラー。
舞台の施設は病棟ではないっぽいのだが?
しょうもなさすぎて敬遠した人も多いと思われますが、監督はあのマーカス・ニスペルです。ジャケにも書いてありますが「テキサス・チェーンソー」の人ですね。
ああ…あの人もいつの間にかここまで落ちぶれてしまっていたのか…という気分で鑑賞しましたが、一応そこまでひどい映画でもなかった…かな…?
本作の舞台は精神異常・知的障害の子供を集めて虐待や実験を繰り返した施設、という見るからに罪深く、怨念がこもっていそうな廃墟であり、その辺の過去を白黒の記録映像で映すオープニングは実に重苦しく禍々しい。さぞかしシリアスなストーリーと容赦ないスプラッター描写でこちらの精神を追い込んでくるガチホラーなんだろうなあと期待が膨らみます。
そして毎回似たようなことを言っているようでアレですが、
例によってこの手の映画では定番のバカな若者グループが主役です。
そんなところでどんちゃん騒ぎするくらいなので途方もなくバカです。
それにしても最近はどうも私の想定を超えるバカが出てくる映画が多い。彼らに全く共感できる部分が無いため、どんなムゴイ場面が展開されようとも、つい「いい気味だ」と言う爽快感が先だってしまい、恐怖を感じる余地が全然ありません。無駄に険悪だし。バカでもいいからもう少し仲良くしてくれ。
そのうえ、本作は重たい設定からしてシリアスホラーなのかと思いきや、ギャグの切れ味がなかなかに冴えており、どちらかと言えばコメディ寄りの作風に見えます。
↑ふざけ半分で降霊儀式をやったら仲間が悪霊に憑りつかれて困ったバカ共。
困った時はスマホスマホの現代っ子共。
で、悪魔祓いのやり方を調べたら出てきたサイト。
マジメなサイトなのか、エクソシストを茶化したサイトなのか判別が…
いや、明らかに後者ですね。
↑そう、悪魔祓いにはゲロ噴出はつきもの。
吐く場合もあるのではなく、大抵は吐きますよ。
「エクソシスト」はもちろんですが「
デビルシャーク」なんぞ一体何度嘔吐シーンを見せられたことか。悪魔祓い映画は頭からケツまでゲロまみれなものです。
しかし、そんなことを動画でレクチャーされても一体どうしろと言うのか。
↑今頃気が付いた主人公のパトリック。度を越したバカ集団の中でもコイツだけは微妙にマトモっぽいのが救いです。悪魔祓いが「人類の最も神聖な儀式」かどうかは意見の分かれるところでしょうが、とりあえず本作が色々なものをコケにしていることは確かです。
例えば悪魔祓いには聖水が必須ですが、彼らは持ち合わせていませんでした。
ではどうするか? となった時に、
「さっき轢き殺した神父の指を水に浸そう!」
となり、それに対するツッコミが
「ティーパックか!」
ですからね。敬虔な信者が観たらキレそう。でも正直そこは笑った。
他に面白かった点を挙げるとなると…。
悪霊憑きにあちこち刺されて痛めつけられたデブが悪態をつく場面があるのですが、そこはなかなかユニークな言動で笑えます。
血だらけになって激痛に顔を歪めながら
「甘い夢のようなパーティだ!また来週もやろう!」
と吐き捨てるというね。ネガティブなことを何も言わない悪態。
スプラッター描写も手足はもちろん舌切り取りに顔面切断となかなか張り切ってエグイものを見せてはくれるんですが、見た目だけハデでも恐怖と絶望による心理的追い込みがないのでいまいち心躍らず。あとゴミだらけのボロイ廃墟で転げまわるのでエグイというよりバッチイ絵面が多くて辟易します。血しぶきとか脳みそが口の中に入る描写も多いけどそんなのいらないです。
こっちは「テキサス・チェーンソー」の、足を切断した獲物を鉤に刺し吊るして傷口に塩を塗り込むようなトラウマ描写が観たいのです。
いやまあ、そんなに観たいわけでもないけど。
ということで、不謹慎ネタで笑いたい人にはそこそこオススメです。