ブラッド・イン・ザ・ウォーター　感想

製作：2016年アメリカ
発売：トランスワールドアソシエイツ

求職中の身でありながら豪邸でダラダラ過ごしていたパーシーとベロニカ。そこに旧友のフリードグッドが訪ねてくる。彼ら3人はかつて麻薬密売に手を染めており、フリードグッドだけが捕まって刑に服していた。そんな経緯で彼に引け目を感じていたパーシーたちだったが、復讐心を秘めたフリードグッドは再び麻薬密売に加担することを求めてくる。

これもしかしてサメ映画なんじゃないかな…などと思って借りてきたんですが、舞台は海じゃなくて豪邸のプールでした。
いや、プールだからといってサメが出てこない理由にはならないのですが、それでもやっぱりサメ映画ではなくて普通のクライムサスペンスでした。

またしてもトランスワールドアソシエイツプレゼンツということで全く期待はしていなかったんですが、これはトランスワールドアソシエイツにしてはかなり良い方です。と言ってもあまりにも退屈すぎていっぺんに観れなくて1日30分ずつ、3日かけてどうにか最後まで観通しました。

で、出来はそこまでひどくないのにどうしてそれほど退屈したかと言うと、本作はどんでん返し一発勝負型のクライムサスペンスだったんですよね。

オチで全てをひっくり返すために丁寧に丁寧に伏線を仕込みまくってるわけです。映画に限らず小説でも何でもそういうタイプの物語には非常にありがちなことなんですが、全てがオチへの前フリでしかないために物語自体の吸引力、面白さが全く持って欠けている。
こういうＢ級映画の引き合いに出すのはちょっと気が引けますが有名どころだと例えば「ユージュアル・サスペクツ」だとか、「イニシエーションラブ」（※小説）とかが私の中ではその代表格です。これらはオチの凄さばかりが一人歩きしてるけど今となってはオチ以外何も思い出せないし、オチだけでいいならもう少しマニアックな領域にもっと凄いのが色々あって、例えば麻耶雄嵩の「螢」とか鳥飼否宇の「痙攣的」とかの方がよっぽど仰天すると思うんですよ。これはどっちも小説ですが、映画だと「ゾンゲリア」あたりがインパクトありましたね。

と、少々脱線しましたが本作は主役のパーシーとベロニカが何をしたいのかよく分からないのが問題なんです。ミュージシャンを目指しつつ一応大手製薬会社に就職しておきたい、という感じのようではありますがさほど真剣でもないし、昔のワル仲間フリードグッドに麻薬密売を持ち掛けられてもそこまでイヤとは言わずしぶしぶ加担する。トラブルらしいトラブルが起きるのもラスト15分くらいになってからだし、それまでは特にスリルがあるわけでもなく大変ダラダラしています。

ただ、ラストまで観るとこの欠陥も納得できるようにはなっています。というかラストで驚かすためにはそうならざるを得ないといった感じです。しかしここまで過程がつまらなくなるんだったら、別にオチまで隠しておかなくても全員の意図を見せながら××の奪い合いを描いた方が良かったと思いますね。なんせ3日もかけて観たもんですから記憶が薄れちまって、親切丁寧に回想されても伏線全部拾いきれませんでしたからね。まあ、どんでん返しといっても別に驚くほどの内容ではありませんが。

なので新作で借りるほどオススメは出来ませんが、午後のロードショーあたりで放映した時なら観てみてもいいかもしれません。