ある好事家の記録 主に変な映画の感想

変わった映画を見つけたらそれを語りたいブログ。  主にモンスターパニック映画、特にサメ映画の感想が多め

イコライザー2 感想(ネタバレあり)




製作:2018年アメリカ
配給:ソニー・ピクチャーズ




元凄腕エージェントであり、現在はタクシー運転手をしながら世にはびこる悪を一人で裁き続けている必殺仕事人マッコール。ある時、ベルギーで殺人事件を捜査していた親友が殺害されるという事件が起こる。だが、犯人はかつての同僚だった。







ただのオッサンかと思いきや実は死ぬほど強いやつだった系アクションの2作目。
その手のアクション映画の代表といえばやはり「96時間」シリーズですが、2作目以降はいまいち出来が悪かったあちらと違って本作は続編でも神懸かり的ハイクオリティを維持することに成功していました。
つまり1作目同様、メチャクチャ面白かった。これもアントワーン・フークア監督が続投してくれたおかげでしょうか。






疲労と眠気でいまいちテンションが上がらない中、深夜の映画館に出向いて鑑賞してきたのですが、ただでさえダルいのに予告編やら宣伝やらが異常に長くてもう本編が始まる前から寝落ちしそうなコンディションでした。映画の予告はまだいいけどバレエとかゴッホとか刀剣乱舞とか新型カローラの宣伝とか毎回毎回本当に勘弁して頂きたいものですね。



しかし、本作は冒頭からもう異常なほどカッコ良すぎて一発で目が覚めました。
言ってしまえばマッコールがただ列車で悪党を成敗するというだけのオープニング。だがそれを直接的に見せるわけではなく、「痛みには2種類ある。体の痛みと、改心の痛みだ。どちらか選べ」と悪党に問い掛けた直後にドンとタイトルが出て、あとは省略。これは痺れましたね。こういうのはデンゼル・ワシントンの理知的な眼差しが無ければ成立しないんだろうなあと感心させられます。一見同じような筋書きの映画を量産していたヴァンダムやラングレンでは絶対こんな格好良くならない。ついつい比較してしまいます。まああちらはあちらで大好きですが。



で、その一見よくある筋書き。
引退した凄腕エージェントがその戦闘能力の高さを生かし、タクシードライバーという庶民的な仕事のかたわら目についた悪を人知れず成敗し続ける…なんと陳腐な話でしょうか。
しかし、最近の娯楽大作のように前半から派手なアクションシーンのつるべ打ちという見せ方は一切してきません。むしろかなり落ち着いたトーンで進行します。マッコールは絵描きを目指す不良少年、妄言を吐き続ける老人、ボンボンに酷い目に遭わされる若い女、といった社会的弱者に優しく寄り添う姿が大変ジックリと描かれます。

善悪の狭間で揺れ動いている危うい不良少年マイルズとの心の交流はとりわけ尺を割いて丁寧に積み重ねられており、非常に感動的でアクション要素抜きでもヒューマンドラマとして成立するのではないかと思えてくるほどです。ここまでやってようやく、マッコールがただ悪党をブチ殺すだけのバイオレンスサイコキラーではないという主張に一定の説得力を持たせていると感じました。

つまり、それが無ければマッコールがマジで危ない殺人マシーンにしか見えなくなってくるということです(そうなったらそうなったで面白い気もしますが)
マッコールは自分が悪だと感じた人間を法律ではなく自分自身で裁いてしまう私刑執行人。前半では分かりやすい悪党を懲らしめるだけなのでさほど問題はないのですが、本作のメインとなる「親友の仇」との闘いではそこら辺が非常に微妙です。


元は同じ機関で働いていたエージェントながら職を失ってしまい、今さら真っ当な仕事も出来ず仕方なく殺し屋になってしまった元同僚。妻と幼い娘二人を持ち、表向きは良い家庭人でもある。そんな奴でも親友の仇である以上、殺すことは致し方ないかもしれない。しかし、マッコールはそんなかつての同僚に対して躊躇も葛藤も無く、一度「悪」と判定した以上はそれ以外ないとばかりに殺処分しようとする。ここら辺はマッコールには人間味があまりにも薄く、神か機械のような印象すら受けます。いや、前半での弱者に寄り添う姿がなければ、それそのものです。


クライマックスは嵐の中での戦闘になるのですが、アクション映画でわざわざ暴風雨の中という異質な舞台を用意するという趣向の凝らし方に驚きました。一体どうやって撮影したのか。本物の嵐の中でやっているようにしか見えない。そこまで苦労して嵐にこだわった理由までは分かりませんが、姿なき殺人者マッコールに一人また一人と無惨に切り刻まれ殺されていく殺し屋たちのやられっぷりはもはやホラー映画的。やはりマッコールは一皮むけばモンスター的殺人者なのか。それでも最後の一騎打ちでは何とか「男と男の戦い」感がないこともなかったが、終わってみればやはり限りなく希薄でした。殺処分的でした。アクション映画的にはもうちょい強い敵を用意してほしかった感が残りましたね。


殺し屋とはいえ仮にも妻と娘がいてあんなに幸せそうな家庭を築いていたのにそれでいいのか? と思わざるを得ませんが、後に残され悲しみに暮れたであろう殺し屋の妻子に関するアフターフォローは何も無し。不良少年はもちろん、妄言を吐く老人にすら優しい後日談があったのに…。

他に気になった点としては、マイルズの絵がいくらなんでも上手過ぎるんじゃないかということですが、まあ些細なことですかね。自分の中の勝手な基準で人を殺しまくっているサイコパスと紙一重な男が不良少年を更生させる。そんな感じのひねくれたドラマとしても非常に楽しめる素晴らしい続編でした。

コメント

1. すいません クソ映画のみかと勘違いしてました

『シャーク・イン・ベニス』にコメント入れたらソッコーレスポンスの返信があったので嬉しかったです。
コメント最後に「クソ映画しか観ないワケじゃない」と書かれておりましたので「ホントかよ⁉」と思いブログを徘徊しておりましたらウソじゃないことがわかりました。
「イコライザー2」、カッコいいですよね〜。
冒頭シーンで、もう勝負ありですね。
仰られているとおり、コレはデンゼル・ワシントンじゃないと出せないモノですね。
これからも楽しくブログを拝見させて頂きます!

Re:すいません クソ映画のみかと勘違いしてました

うちのような弱小ブログにコメントをくださる方は滅多にいないので、
可能な限り即レスを心がけております。
もし毎日くるようになったらサボるかもしれませんが。

クソ映画以外もある、っていうか観た映画の感想はとりあえず全部書いているだけなんです。見たいものは全部観ます。たまたまクソ映画が多いだけなんです。

でも、普段からクソ映画を多量に摂取していると、たまにイコライザー2のような良作を見た時に途轍もなく面白く見えるというメリットがありますよ。
普段から評判の良い映画ばかり選んで見てると、無駄に目が肥えてしまって良くないと思ってます。

プロフィール

HN:
岩石入道
性別:
男性
自己紹介:
B級~Z級映画が主食。ホラー、モンスターパニック系が特に好き。目についたサメ映画全てチェックしたい
krgm200@gmail.com

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