108時間　感想

製作：2018年アルゼンチン・スペイン・ウルグアイ
発売：アットエンタテイメント

108時間眠らなかった結果精神に異常をきたし、悲劇的な事件を起こして死んだ女性がいた。それを題材に、ある劇団が精神病院跡で新作の舞台を行うことになる。演出家のアルマは、役になり切るため出演者たちに実際に108時間眠らずにいることを求める。怪訝に思いながらもそれに従っていたビアンカは次第に幻覚に悩まされる。

本作とは全く関係ない話なんですが、今日ローソンに行ってＤＶＤコーナーをふと見たら
「インデペンデンス・デイ2018」とか
「ディストピア2049」
が特別価格として1000円で売られていました。
レンタルでも引くぐらい阿漕な商売だなあって思ったのに、1000円も出して買わせようとはいくらなんでもひどすぎる。自分の目を疑いましたね。メジャーなやつに混じって販売してるので、特に「インデペンデンスデイ2018」は本家と間違えて買ってしまう人がいるかもしれません。あれに1000円も出すとか正気の沙汰じゃないですよ。1000円もらっても観るかどうか悩むレベルの産業廃棄物ですからクレーマーじゃなくても激怒しかねませんよ。
TSUTAYAやGEOもそうですが、ローソンはちゃんと商品の内容をチェックしたうえで流通させた方がいいんじゃないですかね…

…で、本作についてですが、108時間眠ってはいけないという辛い話です。
こういう映画にこそ「ドント・スリープ」と付けるべきなのではないかと思いましたが、パチモンにするにはちょっと出来が良すぎたのかもしれません。それに、眠ってはいけないと演出家は指示しているものの、身の安全を考えるならむしろ眠るべきという話になってくるし、断眠しているわりにどいつもこいつも眠そうな素振りを全く見せないので案外睡眠に関してはどうでも良さげな雰囲気も感じます。

108時間眠らずにいた女性の話を演劇でやるからと言って、わざわざ精神病院跡にまで行って主役だけじゃなくスタッフも全員断眠せねばならない…ってそんなもんやる方も観に来る方もどうかしているとしか思えません。実際にやらなきゃ演じられないのであれば、役者失格なような気もします。
しかも観客は窓に開けた小さな穴から覗いて鑑賞する仕様。一体どれだけ素っ頓狂な好事家ならそんな前衛的すぎる演劇をわざわざ観に来ようとするのか？　私ごとき凡人には全く理解が出来ません。
ただ、どうかしている人を眺めるのは面白いので、本作もそういう意味では退屈はしません。少なくとも前半は。

アルマというちょっと危ない演出家が言うには、108時間不眠を貫いた先には何かしら新しい感覚世界があるとか何とか。怪しい新興宗教のような話です。
それを信じたのかどうか微妙な感じだけど、とりあえず主演女優に挑戦してみるビアンカ。断眠は96時間を越えると精神異常の兆候が出てくるらしく、ビアンカも恐ろしい幻覚に悩まされ始めます。ここは典型的なジャンプスケア描写が多くてウンザリします。幻覚が突然襲ってくるホラーは安易すぎていけない。そして幻覚に悩まされるほど断眠を続けているのに、全く眠そうじゃないというのがかなり違和感。気づいたらあとちょっとで108時間だわという感じ。相当体力を消耗すると思うんですがね。

色々調べた結果、断眠が108時間を越えたら非常にまずいことになる、だから眠らなければ！
という展開になるんですが、なぜかなかなか眠ろうとしない。それだけ起きてたんならもう一瞬で眠れるだろうと思うんですが。やっぱり何だかんだいって108時間を越えた領域に興味があったってことなんでしょうか？

結局眠らずにいるべきなのか、それとも眠らなければいけないのかよく分からなかったんですが、後半になると私の方がかなりの眠気と戦っていました。こっちは起きてから12時間も経ってないのになんでこんなに眠たいのか？

とはいえ、それまでの伏線を綺麗に回収したうえで意外性もしっかり持たせたラストはなかなか見事でした。ほんとに窓の穴から覗いてた観客たちにもビックリですが。あれで一体いくら取ってたんだろうか。
尺が1時間47分とかなり長くてダレる部分もありましたが、トータル的には悪くないのでそこそこオススメです。