ある好事家の記録 主に変な映画の感想

変わった映画を見つけたらそれを語りたいブログ。  主にモンスターパニック映画、特にサメ映画の感想が多め

メガ・スパイダー 感想

 


モンスター・パニック映画という大きな括りにおいて、
「サメ映画」はごくごく一部の例外を除いてゴミクズ映画が大量生産されているジャンルです。
それは濃い映画ファンや好事家筋にはよく知られている事実。でも、そうでない人はまず知りません。
なので、サメ映画好きだと言うと生暖かい目で見られたり、または「ジョーズ以外になんかあったっけ?」などと心無い言葉を浴びせられることになります。

しかし、サメ映画の場合、「たとえゴミでも量産はされている」「一部例外がある」という2点において実はかなり恵まれたジャンルでもあるのです。近年では「海底47m」や「ロストバケーション」といったハイクオリティな作品も年に1度くらい出現しています。

そんなサメ映画の影に隠れて、「クマ映画」や「ワニ映画」、そして「クモ映画」という超絶ニッチなジャンルのモンスター映画があるということを忘れてはいけません。

クモ映画には本当にロクなものがない…
これを悟ったのは15年ぐらい前のことだったでしょうか。

ラプチャー 破裂」の時にも書いた気がしますが、
クモ映画で一応良かったと言えるのは1990年の「アラクノフォビア」と
2002年の「スパイダー・パニック」この2作のみです。
良かったと言っても、サメ映画における「ジョーズ」や「ディープブルー」等とはクオリティでも一般的知名度でもとても比べられるものではなく。
クモ映画なんて見たこともないし見たいとも思わない、という人が圧倒的多数であるというのが厳しい現実でした。


私はクモ恐怖症ゆえに人一倍クモに対する好奇心が強く、モンスター映画好きとしてはクモ映画も決して軽視できるジャンルではないのですが、さすがに「アラクニア」あたりで

「もうクモ映画は駄目だ…諦めよう…」

となってしまい、ブックオフやゲオで見かけても手に取らなくなったのですが、
このようなブログを始めたこともあるし、もう一度ドブさらいをしてみよう…そんな気分になりました。


手始めにこの「メガ・スパイダー」ですが、
ジャケットからは相当な地雷臭があふれ出ています。
高層ビルにとりついている超巨大クモの絵ですがどうせいつものジャケット詐欺に決まっています。別にそこまでデカいクモを見たいわけではないので詐欺でもいいのですが、誇大広告をするということはまあ要するにそういうことです。


…という具合に警戒心MAX、かなりハードルを下げて鑑賞に臨んだのが幸いしたのか、意外にもこれはかなり楽しめました。いや、客観的に見ても、「アラクノフォビア」や「スパイダーパニック」に肩を並べるクオリティと言っても過言ではないでしょう。

しかしその2作もそうですが、本作もまたコメディ成分強めです。少しでも真面目な空気があるのは序盤だけで、あとはずっとゆるくて能天気でおバカな雰囲気。
別にそういうのも嫌いじゃないですが、たまにはガチでシリアスなホラーとしてのクモ映画を観てみたい…。


巨大クモがロスで暴れまくり、害虫駆除業者のデブ男アレックスがそれに立ち向かう様子をウェットな歌をバックに、実にエモーショナルな演出で描く導入部。この時点で相当な気合を入れて作ったのだということが伝わり、期待度も上昇してきます。

ストーリーは王道というか平凡というか、米軍がうっかり開発したヤバいクモが逃げ出してロス市民大迷惑、害虫駆除業者が軍と協力してやっつけるというものです。
米軍のトップとして「ジュラシック・シティ」で見覚えのある顔(レイ・ワイズ)が出てきて何だか不安な気分に陥りましたが本来はそこそこ有名な俳優さんらしいですね。なんであんな産業廃棄物に放り込まれていたのか。まあ、あの時は多分人質でも取られていたのでしょう。


クモのCGは非常によく出来ており、違和感はほぼありません。これはなかなか感動ものです。クモって足8本もあるし作るのめんどくさそうですからね。
それだけに、完全にコメディ映画ではあるのですが、クモが人を襲って喰らうシーンはなかなかのおぞましさ。サメやクマに喰われるよりもクモに喰われる方が圧倒的に恐ろしく、気持ち悪いと言えます。その辺、ホラーとしては結構なアドバンテージだと思うんですがなんでコメディ仕立てなんでしょうかね。

あと、やっぱりクモは数十センチぐらいが一番キモくていいですね。
なのでこの映画が最も面白いのはクモがまだ成長しきってない序盤です。
40~50センチぐらいのクモが寝たきり老人にじわじわ近づいてから食らいついたり、コインをエサにしてホームレスをおびき寄せて消化液を浴びせてから食らいついたりする様は夜中うなされそうなほどの悪夢的状況です。これぞクモ映画の醍醐味ですね。
中盤以降はジャケット通りに数十メートルサイズになって暴れるんですが
あそこまでいくと怪獣っぽくなってしまい、クモ独自のワサワサしたキモさが薄れてしまう気がします。それでも公園で人を食いまくるシーンはリアルな非現実感が出ていてパニックムービー的に良い出来でした。


「クモ映画が好きな人」…ってどのくらいいるのか全然分かりませんが、
アラクノフォビアやスパイダーパニックが楽しめた人なら本作も相当楽しめると思います。…ただ、吹き替え声優は全体的にちょっと下手なので字幕のままで見た方がいいでしょう。

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プロフィール

HN:
岩石入道
性別:
男性
自己紹介:
B級~Z級映画が主食。ホラー、モンスターパニック系が特に好き。目についたサメ映画全てチェックしたい
krgm200@gmail.com

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