黒人魚　クロニンギョ　感想

製作：2018年ロシア
発売：インターフィルム

溺愛してあげる！

湖畔にある別荘に友人たちと静養にやって来たローマ(エフィム・べトゥルニン)。深夜、一人で湖で泳いでいると謎の女に出会う。その女に遭って以来、恐ろしい幻影に襲われ、日ごと体力が衰えていく。婚約者のマリーナ(ヴィクトリア・アガラコヴァ)もローマと共に幻影に悩まされるようになる。湖で泳いで以来、ローマの異変を感じていたマリーナは湖に向い、かって、この湖で起きた女の入水自殺を知る。自殺の原因を解明するごとに、女の想像を絶する恐ろしい逆襲が始まる！、そして信頼関係を深めたマイルズは、親友のサラと共にA-X-Lを守ろうと軍からの逃走を図る―。

（↑アメイジングD.C.公式サイトより）

珍しく2連続でロシア映画。
この邦題とジャケットからすると、水の中に人間を引きずり込んで喰らう黒人魚なるクリーチャーが出てくるホラーなのかな…などと思ってレンタルしてみたんですが、やはりというか全然違いました。人魚要素ほとんどないし。ただの女の亡霊だし。ジャケ絵がいやに気合入ってるなと思ってよく見たら別に下半身魚でもなかった。

それはそれとして、公式サイトのあらすじを読んでみるとこれがまた何かおかしい。黒人魚の正体は湖で自殺した女の怨霊であり、想像を絶する恐ろしい逆襲を始めるってところまではいい。
だがその後の文章は一体何なのか。
何と信頼を深めたどこのマイルズが急に軍から逃走することになるんだって？

…いや、別の映画のあらすじが混入してただけなんですけどね。文章としては一見自然につながってるように見えるのでちょっと混乱しました。

で中身の方ですが、まあ基本的には出来の良い心霊ホラーだと思いました。
映像は綺麗だし、尺は短めだし。そつなくまとまっていると言えます。

しかしストーリーは500年前の古典怪談話を映画化したのかなと思えるほどにカビ臭いです。
恋人に裏切られて池に身投げした女の幽霊が祟って出るだなんて21世紀になって久しい今そのまんま出してくるような話か？と逆に驚きました。王道と言えば王道ですけど。

あと、いつも言ってるようですが、幻覚でおどかしてくるっていうのがどうも…安直すぎますよね。幻覚×ジャンプスケアでビビらせてこようとする手法は嫌いです。どんなに恐ろしい映像を見せられても、どうせ幻覚なんだろと思うと怖がりたくても怖がれないし。急にデカイ音出してビックリさせてこようとするし。驚きと恐怖は違うというのに。幻覚ホラー演出は夢オチを何度も繰り返してるのと同じようなもんだからだんだんゲンナリしてきます。幻覚を見せてるヒマがあるならさっさと内臓でも引っこ抜けばいいのにとか思ってしまう。

ただ黒人魚（怨霊）が正体を現した時にめちゃくちゃ長いキバを剥いてくるのはなかなかユニークなキモさがあって良かったですね。あれじゃ何も噛めないんじゃないかと心配にはなりますが。機能性を気にしなくていい怨霊ならではのビジュアルか。

しかし怨霊なので実体は無いんだろうと思って見てたら蹴りで撃退するシーンがあったのにはちょっと困りました。やっぱり幽霊じゃなくて実体のあるクリーチャーなんだろうかと。別に深い意味はないようでしたけどね。

まあそんな感じで悪くはないけど超地味なゴーストホラーなので、怪談が苦手な人は涼むのに丁度いい具合の映画かなと思います。

1. 【お勧め映画】ゆれる人魚

こんにちは。この作品の感想からは外れてしまいますが、同じ「人魚」を扱った映画ならば、お勧めの一本がありますよ。それは「ゆれる人魚（ポーランド 2015年）」という作品です。

これは面白かったです。カテゴリーとしては、ホラーに属するのですが、全く怖くはありません。逆に綺麗なオッパイを存分に堪能できて、眼福の極みです（笑）。この映画を観て「いつかポーランドに行こう！」と、心に固く誓いました（笑）。

詳しくは申し上げませんが、もしもこの作品、好事家さん未鑑賞であるならば、是非一度ご覧になってみては如何でしょうか。