ある好事家の記録 主に変な映画の感想

変わった映画を見つけたらそれを語りたいブログ。  主にモンスターパニック映画、特にサメ映画の感想が多め

アタック・オブ・ザ・キラートマト 感想



製作:1978年アメリカ
発売:キングレコード

あらすじ:ある日突然、トマトが人を襲い始めた。










もう2019年です。
この映画が公開されてから40年も経ってしまったというわけですね。
クソ映画マニアでは知らぬ者がいないほど絶大な知名度を誇る不朽の駄作…


ですが、私は「アタック・オブ・ザ・キラードーナツ」の時にも述べたように、すでに語り尽くされたであろう本作をわざわざ観る必要は無いと思っており、今までずっとスルーしつづけてきました。

…が、今日は特に観る物が思いつかなかったのでつい何となく観てしまいました。




殺人トマトの襲撃!
なんというストレートなアホ臭さ。
さすがに学生の頃の私でも本作を手に取ることはなく、テレ東で放映することもなかった。

だが、どうしてこのようなZ級映画が世界中の好事家を虜にし、
40年後の今わざわざブルーレイまで発売されるほどの大人気を博してしまったのか。
今さら鑑賞するからにはそこのところを見極めなければなりますまい。

…と言う具合に、かつてないほど真剣な顔で再生ボタンを押したのですが、
思ったより全然クオリティは高い。これZ級ですか? 充分B級じゃないですか?

なんせ冒頭から何の脈絡も無くヘリコプターの墜落という大変スペクタクルな映像を拝ませてくれるのです。
1978年の映画ですから当然CGではなく実物です。
まあ、撮影現場に偶然墜落してきたヘリをこれ幸いとばかりに本編で使用しただけとの話ですが、そんな偶然が起こること自体が普通ではあり得ない。


さらに、「ジョーズ」を意識したであろう、海水浴中の若い女性たちが
殺人トマトに襲われるという珍場面が出てきます。
見た目はまるでサメ映画のようなんですが、悲鳴を上げてパニクる女性の周囲には
実物のトマトがいくつかプカプカ浮いているだけ。

何も知らずにここだけ見たら、
よっぽどトマトが嫌いな女の子なんだろうな…
と思うしかないでしょう。

こんなことをされては世の好事家が持ち上げるのも無理はない。
ブルーレイまで買う人の気持ちは分からないけども。




 

↑トマトが人を襲うシーンはなかなか良いです。
倒れているスーパー店員の上をカクカク動いているトマトや、おばさんをゴロゴロ追いかける巨大トマトという絵面は今見てもかなり斬新ですし。何よりこのおばさんが真に迫った悲鳴を上げているのが素晴らしい。どういう指導をしたらこんな場面でそんな真面目な演技をしてくれるのか知りたいくらいです。



しかし、そんな好印象も序盤だけ。
別に大した金がかかるわけでもあるまいに、なかなかトマトが出てこなくなってしまうのです。
じゃあ何が出てくるのかと言えば、変人たちによるショートコントの繋ぎ合わせ。
なるほどこれはZ級クオリティ。
瞬間最大風速はそれなりに吹いてる時もありますが、こちらの意識を容赦なく奪いに来てくれます。
私もうっかり眠ったり、テレビを付けてみたり、ハイチュウの包み紙でミニ手裏剣を折ったりしてしまう程度には手持ち無沙汰と感じる事態に陥りました。








↑瞬間最大風速というか神風が吹いた場面。
政府が派遣した変装の名人が、トマトに化けて敵地へ侵入。
巨大トマトたちと意気投合し、たき火を囲んで夕餉を共にした際の不用意な
「ケチャップない?」

一言で全てが水泡に帰す。
この後彼は一体どうなってしまうのか!?
とワクワクしてたら末路は普通に省略されました。












↑全く知らなかったのですが、本作はどうやらミュージカル映画でもあるようです。
急に歌って踊り出す場面が3回もあります。
私はミュージカルという分野の芸術を全く解さない人種なので
急に歌って踊り出されるとひどく戸惑ってしまいます。
まあ、ミュージカル好きな人でも戸惑うような内容ですが。
ただ、本作はBGMの出来だけは良いと思います。
一度聴いたら絶対忘れられない主題歌のインパクトも相当なものだし、
アクション(?)シーンで流れるジャズ調のBGMも普通にクオリティが高い。
もしサントラが存在するならちょっと欲しいかもと思わせるだけのパワーはあります。










 
↑本作がいくら酷くてもいまいちZ級に見えにくい根拠として、
エキストラが非常に多いというポイントが挙げられます。
21世紀のZ級映画は大抵の場合出演者が異常に少ないですからね。
出演者総勢3~5名というのも珍しくないのがZ級の世界。
しかるに、本作ではこんな大勢がトマトから逃げたりトマトを踏み潰してくれるなんて、
莫大な手間と予算がかかっているように見えてしまいます。












↑殺人トマトの弱点は、「思春期の恋」なる歌であった。
それを大音量で流すことによって人類は殺人トマトを撃退。
しかし、一部の頭の良い殺人トマトは耳当てで対抗してきた。
…ここは文句なしにZ級ですね。


 


 


どうしてこんなしょうもないクズ映画が40年以上にも渡り
人気を維持し続けることが出来たのか。

例えば、宝くじか何かで10億円当たったら…
または、実は自分が大富豪の跡取りであると発覚して
1000億円もの資産が突然転がり込んできたら…

殺人トマトが襲ってくる映画を撮ってみよう、などと思うか?

という話です。

絶対に誰も撮らない。
どんなに金と時間が余っていたとしても。

しかし、製作・監督・脚本・編集のジョン・デ・ベロとかいう野郎は
おそらく大富豪でも何でもないにも関わらず、

殺人トマトの襲撃をモノにしてしまった。
この世にこんな行動力のある馬鹿がいたなんて…
そこら辺が、本作が今なお固い支持を得る理由なのではないでしょうか。

そのジョン・デ・ベロ監督の親友か何かであろう家具屋の宣伝テロップが
たびたび入って来るのがまた笑いを誘います。
本編にCMを入れちゃった映画など前代未聞ではないですか。
それにしてもソファが5ドルとは…1978年とはいえ随分安いな。


 

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プロフィール

HN:
岩石入道
性別:
男性
自己紹介:
B級~Z級映画が主食。ホラー、モンスターパニック系が特に好き。目についたサメ映画全てチェックしたい
krgm200@gmail.com

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