PLANET OF THE SHARKS　鮫の惑星　　感想（ネタバレあり）

以前から気になっていたこのタイトル。
１００円レンタルかNETFLIXで配信されてから鑑賞しようと思ってましたが
我慢しきれず５００円という大金を払って観てしまいました。

公開から５０年ぐらい経ってるのに未だにパロディが作られるんだから「猿の惑星」も本当にすごい映画ですね。そういや何年か前に「グリズリー・プラネット」なんてのを見かけたような気がしますが機会があったらこちらも鑑賞してみたいと思います。

とはいえ、どっかよその星に行ったらそこはサメが支配する惑星だった！というのではなく、舞台は地球です。なので、「猿の惑星」要素はせいぜいタイトルと自由の女神くらいしかなく、
むしろ「ウォーターワールド」に近い雰囲気のようです。観たのが２０年前なのでほとんど覚えていませんが、地球温暖化で陸地がなくなり、人類は海上に町を作って細々と暮らしているという設定は似ているような気がしました。

このタイトルからはかなりはっちゃけた内容を期待せざるを得ませんが、
意外にもかなりくそまじめに作ってありました。
なので、開始から１時間ぐらいはものすごくつまらないです。
サメ映画はまじめにやった方がつまらないという業の深い世界ですが予算も才能もないとどうしてもそうなるものです。
しかし、そこからのクライマックスは見たこともない、予想もしてなかった珍ネタが爆発。
終わってみれば大満足の１本となりました。

開始から１時間ぐらいは本当にどうでもいい映画です。普通の映画ファンであれば眠気をこらえるのに苦労することでしょう。
サメのＣＧも2017年にしてはかなりイマイチです。
サメそのもののＣＧはまあまあですが、実写との合成が雑でかなり浮いてます。何もないところにヤリを突き刺しているであろう役者の演技に悲哀を感じます。
唯一の見どころといえば、ふしぎなおどりでサメをおびき寄せてヤリで狩ろうとするアマゾネスくらいなものです。
ヘリに喰らいつくサメも今となっては大した絵でもありませんしね。

この映画、最終目的はCO2浄化装置を積んだロケットを大気圏外に打ち上げ、地球温暖化を食い止めて陸地を取り戻すことのようです。
かつてサメ映画でこんな壮大な目的があっただろうか…いや、ない。
登場人物は科学者とか博士が多く、全体的に小難しい会話だらけです。もしかするとこの映画はハードＳＦを目指した産物なのかもしれません。

今回のサメですが、イルカのように群れをなし、電気信号をやり取りして団体行動するように進化したサメとなっております。その中に司令塔となる「母ザメ」がおり、こいつは顔が何やら青白く発光しています。かなり遠くのサメとも意思の疎通が出来るくらい電気出してるよ！ってことですが、なかなか珍しい特徴です。

ケビンコスナーに微妙に似ていなくもない主人公と科学者たちは、CO2浄化装置付きロケットを作るために部品を調達し、研究所へ戻ろうとするところをサメの群れに追跡されます。
で、それを振り切るためにあーだこーだと議論するのですが難しすぎて何を言っているのか全然わかりません。
おとりがピンチになったり、研究所でおおげさにカウントダウンしたりと盛り上げますが何をしようとしているのかよくわからないためボゲーと眺めるしかなく結構辛いところでした。
結局は研究所からビームを発射して海底火山に照射して火山を噴火させるというだけのことでしたけどね。それによる大津波を乗り越えるなど、絵的にハデなシーンが続いたので、あーこれがクライマックスか、じゃあもう終わるのかな？などと思いましたが本当の山場はこれからでした。

火山を爆発させるほどのビームを発射してしまったので、
肝心のCO2浄化装置ロケットを打ち上げる電力がなくなってしまったそうです。
発電機は弱すぎるし、バッテリーもダメになってしまった。
じゃあどうすればいいんだ！
と頭脳明晰な選ばれし科学者たちが真剣に議論します。
ロケットなんて諦めて海上で生きて行けば？と冷めた目で見ていたら、
ある科学者がとてつもないアイディアをひねり出します。
この一言には半分眠りかけていた私も思わず覚醒し驚きの声を上げてしまいました。

＊＊＊＊＊＊以下重大なネタバレです。本編を鑑賞してからお読みください＊＊＊＊＊＊

「母ザメに強力な生体電気がある」

！？

「ロケットの点火にサメの電力を使う」

え！？何それ！？
大気圏外まで飛ばすロケットの点火にサメ１匹の電力？

なんて斬新なサメ映画なんだ…
最高です。
サメ映画史に残る珍作としてサメ映画マニアたちの記憶に留まり続けることでしょう。