Ｘ－コンタクト　感想

全体的なクオリティを見るとＣ級映画の領域に片足突っ込んでるくらい低レベルなＢ級映画ですが、ランス・ヘンリクセンが出ています。
この人ホントこういう映画好きですね。
クリーチャー系の映画ばかり選んで出演する姿勢は好感が持てますが、この映画がひどくつまらないことに変わりはありません。
どうでもいいけどこの人、生き残る率えらく低いですよね。
もしかすると「エイリアン２」以外でランス・ヘンリクセンが生き残ってるところを見たことがないかもしれません。


話的には「物体Ｘ」の舞台がカニ漁船に代わっただけです。
アラスカ沖なので雪が降ってて寒そうだし絵面も似てます。
出てくる怪物もほぼ「物体Ｘ」そのまんま。
汚い触手がビチビチウネウネしながら汚い汁をブシャー！と撒き散らす。
清々しいくらいの劣化コピーです。
登場人物の会話や行動が妙に唐突なシーンが多く、脚本が稚拙という印象を受けます。他にもカットの繋ぎが雑で、主人公が窮地に陥ったのになぜか瞬時に脱出してしまうなど観ていて疑問に感じる場面が多い。
何度か「今何が起こったんだ？」と巻き戻して確認しながら鑑賞しました。


カニ漁船が海中に沈んでいたソ連の月着陸船を発見し、
それを引き上げたら化け物が！ということなんですが、
てっきりエイリアンが暴れる映画かと思ってたらそうではないようでした。
クマムシがどうのこうのと言っていましたが、つまり
「ソ連が放射線に耐えられるクマムシ人間を開発しようとした実験体の成れの果て」
ということでいいんですかね。
いまいち自信がありませんが多分そういうことだったはずです。
バッチイ触手ビチビチ汚い汁ブシャーな化け物の原材料としてはまあまあ革新的と言ってもいいのかもしれません。


そんでそのバッチイ触手ビチビチ汚い汁ブシャーな化け物ですが、
どうも極力ＣＧを使わずに撮影したらしいです。
そこのところにえらくこだわりがあるようで、低予算にも妥協せず細部までよく作り込んであり、この化け物の出来だけはかなりよろしいかと思います。
クリーチャーマニアをうならせるクオリティと言っても過言ではないでしょう。

…と言ってもオリジナリティは皆無で、物体Ｘ大好きな人が物体Ｘの再現に心血を注いだという風情ですが。

物体Ｘと同じように、感染したらそいつも化け物に侵食されてしまうということで、
「お前は感染しているのか？」という疑心暗鬼サスペンス要素も申し訳程度に混入していました。その辺はどうでもよくなったのか途中からぶん投げられていましたが。


作中で科学者（笑）が分析したこの化け物の特性は、

「固体と液体を自由に行き来できる」
「あらゆる生物のDNAを取り入れる」
「ので、海のあらゆる生物のDNAを持つ」

などなど。他にも何か色々言ってた気がしますが、ただのばっちい触手なので特に意味がある設定にはなっていません。
カニ漁船だしカニ型に変形したりしないかなーとちょっと期待したんですがね…。
あと、わざわざカニ漁船にロシア工作員が潜入してたりしますがちょっとした尺稼ぎだけしてすぐ死にます。
これらのことからも分かるように、本作は化け物以外のあらゆる要素がほぼ無意味。単なる添え物。
ただただ「このバッチイ触手ビチビチ汚い汁ブシャーを見よ！いい出来だろう！」という悦に浸ってる製作者の叫びが聞こえてくるのみです。


というわけで、とにかくバッチイ触手ビチビチ汚い汁ブシャーを見たい！という変態さんには本作はオススメです。
でもそれ以外の要素については何も期待せずに鑑賞してください。