ある好事家の記録 主に変な映画の感想

変わった映画を見つけたらそれを語りたいブログ。  主にモンスターパニック映画、特にサメ映画の感想が多め

HUNT/餌 ハント・エサ 感想



製作:2017年オランダ
発売:インターフィルム



オランダ・アムステルダムで何者かに市民が襲われ喰い殺される被害が多発。
獣医のリジーは痕跡からライオンの仕業と断定し、警察署長はいとこのボンクラハンターに依頼して仕留めようとする。しかし案の定瞬殺されてしまい、代わりにリジーのツテでイギリスから凄腕ハンターのジャックを呼び寄せた。だがジャックは凄腕というより変人ハンターであった。彼らは無事にライオンを倒し、アムステルダムの街に平穏を取り戻すことが出来るのか。






「ハント・エサ」って実にあっさりしすぎててつまんない邦題だなーとケチを付けたくなるところですが、原題も単に「prooi」(獲物)でした。淡泊。とはいえ「人喰いライオン」が題材となるとどうも陳腐な案しか浮かんできませんね。アニマルパニック映画は大好物ですが、本作はかなり手堅いというか置きに行ってるといいますか、実に「まあまあ」な出来の直球でした。






そうは言っても、実は人喰いライオンがテーマの映画というのは他にあまり観たことがありません。
同じネコ科でも人喰いトラ映画は地味に結構作られてるんですけどね。ライオンとなるとやはり人喰いモンスターというよりは百獣の王というプラスのイメージが強いと見え、ライオンキングだのマダガスカルだのといった健全な方向へ行ってしまうようです。アニマルパニックの題材にはなりにくいんですかね。「ロアー」みたいな突然変異種はありましたが、あれは古いし人喰いじゃないしパニックでもないので同じライオン映画でも本作と同列には語れません。





本作はアムステルダム市街地に人肉の味を覚えてしまったライオンが出没。ということで、無能な警察に振り回されつつも独自に射殺作戦を進める専門家たちが活躍するというアニマルパニックとしては至極ありきたりなストーリー展開です。それを1時間47分というなかなかの長尺でじっくり丁寧に見せてくれます。ライオンが必要以上に巨大だったり、実はライオンの幽霊だったとかいう荒唐無稽な要素は無く、リアル系統。マニア的には物足りない気がしないでもない。

尺が長いわりに最終決戦まではライオンの出番がかなり少な目でして、獣医のリジーと彼氏のTVクルー、元カレの変人ハンター・ジャックを中心とした人間ドラマの方に力が入れられておりました。そこは製作費的にやむを得ないのでしょうが、それでも彼らの会話がそこそこ軽妙なので充分退屈しのぎにはなってくれます。



↑記者会見でライオンについて発表する警察署長。
しかし市街地にライオンとはさすがに荒唐無稽なのか、マスコミには散々馬鹿にされてしまう。
そんなことよりビール会社が運河にサメを放つ?やらせを行っていたという情報は地味に気になるところです。運河に現れたサメなど「シャーク・イン・ベニス」以外にもいたのか。


この警察署長からしてまずライオンを舐めており、いとこのボンクラ親子ハンターに狩りを頼む展開になるわけですが、彼らが自分で仕掛けたトラバサミにうっかりかかってしまうところが前半の主な見どころと言っていいでしょう。でかいトラバサミを仕掛けるくだりからしてもはやただの前振りにしかなっていないのが素晴らしい。結果が分かっていてもバチンバチーンと景気よく逝ってしまわれるところは思わず笑みがこぼれてしまう良シーンです。生きながら貪り喰われるという悲惨な場面も全く悲惨には見えない。
つまり本作はどちらかと言えばコメディ寄りのアニマルパニック映画ということですね。



アムステルダム市民の肉の味に病みつきとなってしまったライオンが、
アムステルダム市民の肉を無差別に襲い喰い散らかすサービスシーンが散発的に入りますが、そこはまあまあのスプラッター度になっています。切り株・ハラワタ飛び出し程度は標準装備。安いので大して気持ち悪くはありませんが。ただし子供もしっかり襲われる容赦のなさは特筆に値します。ハリウッド映画には真似のできない所業。






↑ライオンは夜行性なので人を襲うシーンも基本的に夜ばっかりで観づらいのに、子供を襲うシーンだけはバッチリ観やすい昼間になっております。子供は夜出歩かないので仕方ない。そこまでして子供を襲わせる必要があるのか?という気もしますが。

当然ながら「ロアー」とは違い本作のライオンはフルCG。出来はいまいち微妙で動きがなんか変です。観るに耐えないというほどではないけど。


そこまでは丁寧ながらも地味で何ら尖ったところのない凡作と言った印象だったのですが、アムステルダム大学でのクライマックスはなかなか良かったです。既に片足を失い、車椅子でハンターを続けている変人ジャックとライオンの対決なのですが、そこまでやらなければいけないのか?…と驚くほどに血みどろで凄惨な激闘。ここはかなり見ごたえがあります。最後の毒〇〇は何だったんだよ?とツッコミを入れたくはなりますが、そこに至るまでの描写は秀逸と言ってもいいでしょう。
とりあえず人喰いライオンが観たいなという人には普通にオススメです。

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岩石入道
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自己紹介:
B級~Z級映画が主食。ホラー、モンスターパニック系が特に好き。目についたサメ映画全てチェックしたい
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