新エイリアン　最終繁殖　感想

ストーリーは「不良たちを更生させるためのキャンプをやっていたら、新エイリアンが襲撃してきた」という至ってシンプルなものです。
人間関係のいざこざドラマはそれなりにありますが、
正直意味の分からんところがちょっと多いです。
たとえば更生プログラムを運営している夫婦がいるのですが、
怪しい死体を見つけたので中止して帰ろう、と夫が提案したのに対し
今あなたは暴力容疑で告訴されている、今帰っても捕まるからキャンプを続行よ！と妻が反対するのですが、キャンプを遂行してから帰っても告訴状が取り下げられる理由が無いので続行を主張する意味がちょっとわかりません。いや、映画の都合的には分かりますけども。


新エイリアンが襲ってくるのは３０分を過ぎてからですが、
意外とCGのクオリティは高いです。動きにも存在感にも何ら違和感がありません。
どうせ暗い夜とか洞窟にしか出てこなくてよく見えないんだろうな、
と思いきや真昼間でも普通にガンガン出てくるので
スタッフもここには結構自信があったと見えます。


ただ、CGのクオリティが高くてもデザインが…かっこ悪い。
頭部は本家エイリアンと似ていて、より凶悪そうなキバを持ってますが
作中このキバを一切使いません。もったいなさすぎる…
ツメもやたら鋭く強そうなんですが、これも使いません。飾りか…。
一番の問題は下半身で、二本の腕とは別に四本足です。馬のような造りで、確かに足は速そうなんですがかっこ悪い。
しかも、ヌメヌメした痕跡を残す割には、金属が多くて何だかロボットのようです。

で、この凶悪なキバとツメを持ったロボットみたいな新エイリアンが何をするかというと、
胸から触手を出して血を吸います。吸われた側は干からびてしまいます。
殺害方法はほとんど全部コレです。例外は尻尾で突き殺した一人だけです。
ちょっと地味なんだよなあ…

で、出てくる人間共はそれまで面識のない不良少年少女たちのため仲間意識が薄く、
新エイリアンに捕まっても大して助けようと努力しないので次々見捨てられ、
サクサク吸われて行きます。


そんな中顔の大きい少年主人公とコートニーという少女だけは適当に絆を深めますが、
そのコートニーが新エイリアンに誘拐されます。それまで刺して吸うだけだったのになぜか唐突に誘拐。
しかも主人公はなぜか考えるまでもなく行き先を把握しており、
胸にシャベルの先を入れたりと完全武装して救出に向かいます。
ちなみにこのシャベルで触手をガードするシーンは当然あると思いきや特に何もありませんでした。


コートニーは洞窟に囚われており、新エイリアンの幼体に抱き着かれていました。
どうやらこれが最終繁殖らしいです。
「なんて酷いことを…」とか言われてますが、何をされてたのか全然分かりません。
てっきり寄生でもされてて手遅れだったのかと思ったんですが別に何でもないようです。
乳母的な役割でも期待されてた？
と思ったら胸に少し傷があったのでちょっとずつ吸血されていたっぽいです。だったら別に男でもいいじゃん…なんでこいつだけ誘拐するし。


あとは仕掛けた罠に誘い込んで新エイリアンとの最終決戦が繰り広げられますが、
ここを夜中や暗い洞窟ではなく、ちゃんと障害物も何もない昼間の荒野でやったところは素直に賞賛したいと思います。
何のストレスもなく見たいものがしっかり全部見えますからね。
大して面白くないのはそれとはまた別問題ですから。


というわけで、CGのクオリティや映像の見せ方はなかなか良かったものの、
いまいちパンチの弱いC級ムービーでした。
変なクリーチャー大好きというマニアにはオススメ出来るかもしれません。