テリファイド　感想

南米産のホラーというのはあまり馴染みが無く、何をやらかしてくるのか分からないのでつい構えてしまうところはあります。冒頭、まずジャブ的に繰り出してくるポルターガイストによる殺人現象は幽霊の仕業にしてはなかなかにバイオレンス。日本人的には幽霊にはもっと奥ゆかしさがあった方が良いと思いますが、派手にやってくれるのも嫌いではありません。そういう意味では期待の持てるオープニングだったんですが、そこからはいまいち失速気味。

トラックにはねられて死んだ子供が墓場から蘇って自宅のイスでご飯を食べようとするも電池切れで動かなくなる…
という事件で警察と専門家がやって来ますが、そこの会話がちょっと冗長かなと。

確かに腐った子供の死体が食卓で固まっている図はかなりインパクトありますけどね。最初は確かに不気味で気持ち悪いんですが、あまり長々映されると今度は何だかお笑いのようにも見えてくるのが問題です。食べる直前まで動いてたのに急にただの死体に戻ったのは何なんだ。自分の子供とはいえ死体丸出しの質感なのにちゃんと飯を出す母親ってどうなんだ。そんなモンを前に平然と長話が出来る超常現象専門家はどれだけ経験豊かなのか。


しかしそんな有難い専門家様も何だかんだ意味深で偉そうなことばかり言う割りにまるで何の役にも立ってくれません。担当の警察官は「オレはついていけないからもう帰る」と言って帰ろう帰ろうとするのに、専門家共が帰って良いともダメとも言わず意味不明な話ではぐらかすもんだから先輩に忖度して帰るに帰れなくなってる新入社員みたいな気の毒さがありました。もう黙って帰ればいいのに。誰が主人公なのかよく分からん映画ですが、素直に怖がりたいならこの警官目線で鑑賞すると良いでしょう。


特に何かオチがつくような話でもなく物語はどうでもいい感じで終幕を迎えますが、最後の最後で思いっきり単純にビックリさせて来やがります。それまで色々と捻ったり技巧を凝らしたパンチが多かっただけにいきなりのストレートにはビビらされました。ちょっとズルっぽくて腹が立ちましたがそれもまた作戦のうちかと思うとやはりお化け屋敷系ホラー映画としては良い出来だったと言わざるを得ませんね。