６８キル　感想

暴力的で気まぐれな女ライザの言うことを抵抗できずについ何でも聞いてしまう情けない男チップ。
強盗計画を持ち掛けられても、「あんたと幸せになるためなんだから」と言われてしまえば逆らうことが出来ない。



「この金があればそのケツもきれいになる」
これってどういう意味のセリフなんですかね？
ちょっと意味が分からないなあ。



ターゲットの民家にいた人間を簡単に殺してしまったあげく、
「あんたまさか人を殺したことも無いの？」
などと言われてしまってはもうさすがのチップ君も引き気味。
しかもその強盗殺人の目撃者を殴って拉致したあげく、
その処分の仕方にチップ君さらに超ドン引き。
というか、私もドン引きです。
まさか生きながら解剖する系のスナッフビデオを自ら撮影して楽しむ身内（兄）に売り払おうとするとは…
しかもそれをライザ自身も大いに楽しんでいるとか…
「ちゃんと一時停止しておいてよ」
「今日はライブで見てもいいって」
ってこれはひどい。エグすぎる。
悪党だとは思ってたけど想定をだいぶ超えていました。



ということでその可哀相な目撃者ヴァイオレットを助けて
サイコキラーのライザたちから何とか逃げ出したチップ君であったが、
6万8千ドルと、生まれ持っての（？）女難の体質によってさらなる
ひどい災厄に巻き込まれて行く。





ライザとその兄があまりにも強烈なサイコキラーだったので
彼らとチップ君の手に汗握る追走劇が展開されるのかと思いきや、
たまたま出会ってしまった別の女どもに苦しめられるという奇怪な展開。
いくらアメリカでもそんなに女サイコキラーがゴロゴロしててたまるか！
とは思うんですがアメリカで暮らしたことが無いので断言も出来ません。
万一本当だったら私など瞬殺なので恐ろしくて確かめることも出来ませんが…。


頼りないオーラ全開のまるで子犬のような純真さを持ち合わせているチップ君は、無防備に金を見せてしまったりするせいで、身ぐるみ剥がされ金を奪われ拉致監禁されボコボコにされたりと、まあ自業自得な面があるとはいえ気の毒としか言いようのない状態に。


そんな感じで途方もないほどのアバズレビッチ＆クズ野郎しか出てこないと思いきや、
1人だけチップ君にまともなアドバイスをしてくれた人がいたおかげで
彼も絶望的状況から前に進もうという気力を取り戻します。
アバズレ＆クズ・バトルロイヤルとでも表現すべき悲惨な痰ツボの中にあって、あの人だけはまさに掃き溜めに鶴。自力で立ち向かわなければ搾取されるだけ。良い話です。




人を簡単に殺すどころかスナッフビデオを作って楽しむサイコキラーことライザさん。
そんな人に「健全とは言えない」呼ばわりされちゃうチップ君。
真面目に見ているとサイコすぎて空恐ろしくなってくる気もしますが、コメディとしてはなかなか笑えます。というかこのシーンは吹きました。本作はこんな感じで気の利いた狂人ジョークに満ち満ちておりハマる人はハマるでしょう。
倫理観がぶっ壊れた陰惨な話を明るく描いているような不道徳な内容でも抵抗が無いという人には結構オススメです。